2020年、台風被災後のホンジュラス。ブルーシートとトタンでつくられた仮設住宅が並ぶ集落

あの時、欲しかったもの

What They Really Needed

制作年2024
素材ブルーシート、単管パイプ、トタン板
場所日本・河川敷
作品形態インスタレーション(写真展示+滞在型)

彼らが本当に欲しかったもの。それは、たった三つの素材でできた家でした。

世界には、今この瞬間にも、医療体制の脆弱さによって命を落としている人々がいる。「神様のみぞ知る」と諦め、命を断念せざるを得ない現実が、途上国には存在している。平時でさえ衣食住がままならない地域に災害が起きると、その苦しみは二重、三重に重なり、人々をさらに追い詰める。

2020年、ホンジュラスを襲った台風の支援現場で、避難所で暮らす人々から、次のような声を聞いた。「トタン屋根、ブルーシート、鉄の棒。この三つさえあれば家が作れる。なのに、その支援すら国から届かない。避難所を追い出されたら、もう行き場がない。」これが、途上国で災害が起こるということだ。

最低限の素材、たった三つがあれば、人は家をつくり、命を守る場所を確保できる。その最低限が、彼らには届いていなかった。テントのような、「家」とも呼べない空間。それでもそこは、命をつなぐために、絶対に必要だった場所だった。私はそこで、自分の無力さと現実を直視することになった。

どうにもならないもどかしさを抱えながら、それでもなお、この感情を作品として引き受けたいと思った。彼らを完全に理解することはできない。同じ人生を歩むこともできない。それでも、ほんの一瞬、想いが交わることはできるはずだ。過去に、彼らが本当に欲しかったもの。それを展示し、体験することで、無関心を関心へと変える。この「家」の中で、遠くの国の出来事が、少しだけ身近になることを願っている。